本と幼い子

記録
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本を読むのが好きだった。

その時間だけは誰からも邪魔されることがなかったからかもしれない。

本を読めば口うるさい大人も黙ると変な学習をした。

初めて単行本サイズの本を手に取って読んだときは、文章を目で追いかけるのが苦痛でともて読めた気がしなかった。

机に5分と座ってられず、興味はすぐに本からおもちゃに変わった。

本の形と、ほんのりカビ臭いにおいが私には新鮮に思えた。

選んだ本はいずれもハードカバーで、いくら叩いても傷つかないように見えた。

その中から古びて脆くなったような繊細なにおいがするので不思議に思った。

何度か同じように手に取ってにおいを嗅いでは飽きるを繰り返していた。

母親が先生と面談をしていて時間を持て余していたので、もっとじっくり本に向き合ってみようという気になれた。

そのときに手に取った本がかいけつゾロリだった。

アニメの方をよく好んで観ていた。

ゾロリが爽快に愉快に問題を解決していくのがカッコよく見えた。

あまり快活に動くことがなかった私にはゾロリの行動がスカッとするものだった。

いつかあんなふうに行動できたら良いなと思いながらテレビを眺めていた。

テレビではなく本になって登場したゾロリを見て、ゾロリもこんなふうにミニサイズになって手に取れるものなんだなと変に感心していた。

しばらく表紙のゾロリと睨めっこをして、ようやく読み始めた。

背丈は周りと比べて小さく、体力も何もかもがない私と卑屈になることがよくあった。

そんなものも飛ばしてあげると言わんばかりのゾロリには何度助けられたことだろうか。

新しい回になる度にそうした名言集は私の中から上書きされて数秒後には忘れ去られるのだが。

ゾロリの言葉は何一つ覚えていない。今も何も思い出せない。

読んでみても習ったばかりの新しい漢字と、その横にルビーが振ってあるのに注意が向き過ぎていて内容が入ってこなかった。

必死になって読めない文章を目で追ううちに迎えがやってきた。

それが初めてじっくりと本に向き合った時間だったと思う。

またあるとき、本を1冊手に取って読むという課題が与えられた。

今度はピンクを基調とした明るいポップな雰囲気の単行本を手に取った。

女の子が天使を飼う内容の本だ。

もうこの本を何度も読んでいるけれど、どのシーンも私は気に入っている。

友だちのいなかった女の子が、天使を通して人と仲良くなるのが気持ち良かった。

私も友だちがそう多い方ではない。同級生じゃなかったら友だちはたくさんいるのになぁと。

同級生と少し上の友だちとでそんなに何かが変わるものなのかと思いながら、友だちできないかなぁとぼんやりしていた。

近所で仲良くしてる子とよく一緒にいたけども。

音楽の時間に「ともだち100人できるかな」って歌うのが苦痛で力任せに叫んでいた。

その度にダミ声誰だ?と先生にストップかけられてたけども気にしなかった。

叫び声を聞け!だったのかもしれないと今になって思った。先生にこの声が届くといいな。

止められたっていうことは、一応声は届いたことになるのかな?とか。

イタズラ心も芽生え始めたらしい。

今度はコックの女の子が色んな問題を解決する本を読んでいた。

どうも私は問題解決系が好きらしい。

何もできない私と本の主人公とを比べていつか私もこうなる!って思ったのかもしれない。

今の私は人からどんなふうに見えてるのかな?とワクワクしながら開けるドア。

人のことは気にしなくてよろしいだなんて冷たいことは言わないで欲しい。

褒められるのを今か今かと待っている。

そうして待っていても仕方がないから、自分自身で自分を抱きしめにいくのだ。

これが案外落ち着くんだなぁ。やってみると面白いかもよ。

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